最終更新日 2024年11月21日
一昔前に比べて、社員旅行を企画する会社は減ってきていると聞きます。
実際に行きたいと答える社会人も年々減ってきているようで、実は私もこうしたイベントは大嫌いな人間でした。
しかしとあることがきっかけで見方が変わり、今では社員旅行の大切さがとてもよく判るのです。
あれは入社2年目の24歳のとき、私の会社ではその年、北海道へ社員旅行に行くこととなっていました。
ですが私は正直仲の良い同僚などもおらず、毎日黙々と仕事だけして帰る日々、行って何が楽しいのが疑問で仕方なかったです。
一応不参加にはできたのですが、それをすると余計に浮いてしまうと思い行くしかありませんでした。
そうしてやってきた当日、1日目の終わりに宿の方で卓球大会が開かれました。
これくらい旅先でやらなくてもいいじゃないか、そう思ったのを覚えています。
ところがいざ始まってみると思いの外熱くなり、普段は見せない自分の姿を見せるようになっていました。
何を隠そう、私は学生時代に卓球部だったのです。
上司にも遠慮なく勝っていく私を見て、段々と他の社員が話し掛けてくれるようになりました。
上手だね、強いねと、これまで仕事では向けられたことのないような眼差しです。
何か凄く満たされたような、評価をされる喜びを強く感じました。
そして社員旅行の最終日、宿を出る前に社長から今回の総括を聞かされたのですが、そこで何と私の話を出してくれたのです。
楽しかったかと聞かれ、私は迷わずに頷きました。
帰りの飛行機は、行きとは全く違う心境になっていました。
仕事だけをする平凡な毎日だと、恐らく私にスポットライトが当たることはなく、話すきっかけのない人はずっと話さないままだったかもしれません。
仕事仲間と過ごす非日常というのが、こんなにも価値の高いものだとは知りませんでした。
同時に社長は、私のような社員のことをよく見るために、社員旅行を毎年企画しているのだと解りました。
働いている限りは、人間関係から逃げることはできません。
とはいえ普通にしていて馴染めなくても、思わぬきっかけから自分の存在感を残せる、それがその旅行で最も学んだことです。
あれから10年が経ちますが、今でも色々な人と接しながら楽しく働けています。
あの旅行に行かなければ、今頃は辞めていたかもしれません。
人生を変えてくれたと、冗談抜きにそう実感しています。