最終更新日 2024年11月21日
原子力発電所は名前の通り、原子力を使いエネルギーを作り出す施設のことで、一般的には核分裂反応を用いる発電所として知られています。
核分裂反応は放射性物質の分裂によりエネルギーが生まれるもので、発生する熱で水を沸かし、蒸気でタービンを回して発電するのが基本的な仕組みとなります。
つまり、燃料には放射性物質が不可欠で、水を大量に使うことから海の近くに建設されることが多いわけです。
しかし核分裂反応は際限なく発熱して高温になりますから、安全に運用する為には核分裂反応とそれによる熱のコントロールが不可欠です。
参考・・・アトックス
万が一の際に水を使って冷却できる
万が一の際に水を使って冷却できることも、海辺に建設が行われる理由の1つで、逆にいえば水の乏しい場所では原子力発電所は成り立たないです。
核分裂反応が発電に活用されているのは、この反応が連鎖的かつ効率的にエネルギーを生み出すのが理由です。
少量の燃料でも長期間にわたりエネルギーを生み出し続けるので、とても効率の良いエネルギー元だといえるでしょう。
ただ、当然ながら燃料の放射性物質は放射性を発生させますから、運用には細心の注意が必要です。
生身では近寄れないほどの放射線量が発生するので、必然的に発電所の壁は分厚く、そして外部に放射線が漏れない配慮が行われます。
これは排気も同様ですし、排水についても気を使いますから、発電効率は高いですがそれなりにコストが掛かります。
コストは設備もそうですが、運用する人員の人件費も含まれます。
無人で安全に運用できるなら運用しやすくなりますが、万が一の備えや対処が必要になるので、流石に無人というわけにはいかないです。
勿論、直接燃料や発電設備のある場所に出向くことは殆どありませんし、遠隔で監視したり発電のコントロールをしています。
原子力発電所の発電は、燃料棒と呼ばれる扱いやすく加工された放射性物質を制御棒でコントロールするのが基本です。
制御棒は核分裂反応を抑制する働きを持つ物質で作られている
制御棒は核分裂反応を抑制する働きを持つ物質で作られており、反応が一定以上にならないようにしています。
となると、制御棒のコントロールが利かなくなれば、言うまでもなく燃料棒の核分裂反応もコントロールできなくなります。
このような自体は想定されていますし、緊急時に停止するように設計されます。
日本は災害大国で地震や台風は珍しくないですから、地震が発生しても簡単に倒壊しないように、台風についても甚大な影響を受けない造りとなっています。
ところが、過去には津波の発生で電源を失い制御できなくなったり、人的なミスで事故が発生しているケースもあります。
結局のところ原子力発電所も電気を使って制御を行っており、電源がなければ安全に運用できないです。
また、運用における人的ミスは避けられませんし、ミスの積み重なりが甚大な事故に繋がるケースも当然ながら存在します。
現在の原子力発電所の運用は、過去の失敗や教訓がベースとなっており、同じ過ちを繰り返さないように運用が行われています。
ただし、どのようなものにも完全はあり得ないので、今後もミスをする可能性を念頭に置いて、慎重に運用することが求められます。
近年は再生可能エネルギーに注目が集まる
核分裂反応でエネルギーを生み出す仕組み上、制御ができなくなれば事故の発生を防ぐのは難しいです。
そこで近年は再生可能エネルギーに注目が集まり、太陽光発電システムの普及促進が行われたり、風力発電の開発や発電所の設置が進められています。
とはいえ、再生可能エネルギーの発電効率は高いとはいえず、しかも発電量は自然任せの受動的なものですから、安定的な発電や電力供給とは程遠いです。
不安定さを解消する方法の1つに分散や増設が挙げられますが、分散は設置する環境の確保の難しさ、増設はコストがネックになります。
1箇所で膨大なエネルギーを生み出すことができる原子力発電所は、やはり効率が良くてコスト的にも魅力的だといえます。
放射線のイメージ、非常時に放射性物質が漏れ出す可能性などリスクはあるので、受け入れる自治体が限られるという問題はあります。
国は補助金を支払うことで誘致を引き出し、設置できる場所の確保に努めてきました。
自治体は補助金で潤いますから、住民の納得さえ得られることができれば、設置は必ずしも不可能ではないわけです。
それでも、ひと度事故が発生してイメージが低下すると、以降の建設は難しくなりますし、受け入れる自治体が減っても不思議ではないです。
使用済み燃料の管理や処分の課題もありますから、絶対的に安全でどこでも運用できるとは誰も断言できないでしょう。
まとめ
現在は安全に運用できる、緊急時でも問題なく停止する核融合反応を活用する発電方法が開発されています。
核融合反応は太陽が膨大なエネルギーを生み出しているのと同じ仕組みで、放射性物質任せの核分裂反応とは異なるものです。
実用化にはまだ時間が掛かりますが、安全性については間違いのないものですし、効率も原子力に相応しいことから期待が高まっています。